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2012年6月29日 11:24
板垣ひろかず
この街に住み始めた時 ぼくはまだ高校生で
いっぱしの勉強家面して 歩きながらの読書
時の自治会長から「わが町の二宮尊徳」などとからかわれたものだ
ひそかな夢と野心を胸に
いつかここを出て
何か大きく打って出る雌伏の時を過ごす気分で
何にでも勝利できると思っていた錯誤
いま梅雨を迎え
雑木はくろぐろと勢いを増し
雑草はコンクリートの割れ目からも生え広がる
かつて高校生だったぼくは
押し寄せる
雑木や雑草の圧力に抗しきれず
周囲の自然にある種の恐れさえ抱いてしまう
人間が勢威を振るっていた街は老い
道も家も人の心も
わがもの顔に振舞いだした自然に
呑み込まれていくようだ
カテゴリー: おりおりの