「ど」に寄せる想い・・・心優しく、目の前のあなたに捧げたい。ひとの心にそっとよりそう、ささやかな応援歌。
1983年3月20日 20:49
第2号 山名 太郎
たとえば三十年前の雨の日
野良をゆく子どもたちは
黒っぽい傘の下で
隊列には無頓着に
よく動く黒い目と
おどるようなくちびると
粉をふいた紅い頬で
「少年」を主張していた
雨の日は暗く
しかしそれは遠い産屋にも似て
たしかに少年を育むものがあった
真夏
おばちゃんおみずちょうだい
通りすがりのわら屋根にとびこんだ
少女たちの声が聞こえる
そしていまも雨
せまくなった田畑のあいだを
子どもたちがゆく
イエロウアンドレッドトライアングルひとすじ
白っぽく建てこんだ家いえの前を
無言の子どもたち
三十年を一気にスピードアップし
列車は迅る
わたしは老いをましつつ
さらに「革命」を思っていた
カテゴリー:
一葉詩誌 ど
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