「ど」に寄せる想い・・・心優しく、目の前のあなたに捧げたい。ひとの心にそっとよりそう、ささやかな応援歌。
1983年5月10日 20:47
第4号 かつら こゆき
五月のかぜとひかりが
へやいっぱいにとびこんで
いつになくさわやかなわたしのめざめ
ベッドのふちにかけ
かがみのむこうの少女とあいさつかわす
むねとこしから下のまぶしい白さに
ナルキッソスの恋を感じて
るる
るるる
はじらいながら咲きあらわれてくる
やさしいいぐさのようなかげりのなかの
白いれんげ草
少女たちがつみのこしていったたからもの
ひろがる草原と遠く黒い山やま
十歳のわたし
かがみよかがみ
わたしになにを見せるのか
白い馬っこのせなかのうえ
白むくおおったおしろいの顔
はじめて会いますあなたの里へ
ゆらゆらゆらゆらおよめいり
なみだでこした十九歳
お母さん雪が降ったの つもっています
瀬戸内で育ったわたしの
子どものようなおどろき
あたたかいふるさとへ
電話の声がはねる
母がわたしを産んだ
その二十三歳
五月
わたしの手のなかに
いまもえているほのお
白いものたちのいのちのさきぶれ
さまざまなみどりにいろどられた山やまの
かげをうつして
それはあおみをおびた白炎になり
わたしのなかのはげしい血のうごきにゆれて
あかみをおびた白炎になり―――
もえている
白いわたし
カテゴリー:
一葉詩誌 ど
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