「ど」に寄せる想い・・・心優しく、目の前のあなたに捧げたい。ひとの心にそっとよりそう、ささやかな応援歌。

2011年1月 3日 11:20

山の泉に手をとめて
わたしはひとすじに女を思っていた
つめたい玉のような水が
したしたとわたしの手をこぼれおちた
わたしの女はいつまでも美しい
わたしの女はしかし誰なのか
昨日からきょうへかけて
きょうから明日へかけて
やわらかく濡れた手の甲のうぶ毛のようなしあわせを
子どものようにそわそわしながら
わたしはここで待っている
永遠のおくそこに澄みきったこの泉から
りろりろと涌きでてくるのは
ひたむきな願いをこめたぶるうだいあの水です
たれも知らない泉のむこうから
やがて 水の精ともいうわたしの女がやってくるのだ
がらすのような緑の樹陰に
わたしはふるえる手をけんめいにおさえながら
よろこばしい錯覚を待っていた。

カテゴリー: 修羅 , 初期詩篇

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