ここにいないおまえのために
わたしの青春はよみがえる
うえたいじましい若者のこころは
北海の空に親しい挨拶を送りながら
おまえのおもかげを育てているのだ
札幌はいまロビニアの緑
摩周湖はいま遅咲きの桜
そしておまえのいる小樽は魚の臭いにむせかえっていよう
波の騒ぐ海の向こうへ人々が幸を求めて出かけるように
わたしはわたしの航路を描こう
おまえ
海をへだてているおまえ
わたしがふりかざしたひたむきな決意を
小さな二つの手ですくっておくれ
やがて
流氷が北に帰り
大雪の雪渓にお花畑が映える頃
おまえのまっすぐなまなざしの前で
少しの恥じらいと
晴れやかな笑みを浮かべて
わたしは立っていたい。
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修羅
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北海の歌 -代志子に-