「ど」に寄せる想い・・・心優しく、目の前のあなたに捧げたい。ひとの心にそっとよりそう、ささやかな応援歌。
2011年1月16日 11:26
日高の山なみが激しく閉じ
あこがれが
しらしらと海に向かって始まる
襟裳岬
ゆっくりと起ちあがってくる波に
わたしは頭をたれかわいた挨拶を送る
くずれてゆく波の
音の
黒ずんだひびきか
おしかえす茫洋か
わたしの息づかいに
霧の溶暗
正しく自然とともに揺れながら
綿羊は日高のふもとに消える
様似出てからよ
杣路を来れば
襟裳の神が
神が
海みち照らす
神々のとき
海を渡ってこの断崖にとりついた小動物
それは多分わたしだろう
海の向こうの襟裳
そこから始まる透明な憧憬
わずかに明日へ生きる決意により
嵐をついて泳ぎだしたわたし
襟裳の花はよ
疾風が運ぶ
異国の人の
人の
広庭に咲く
生きているとは漂うことだ
かたくなに漂流を渇仰することだ
波の起伏に身を埋め
暗い潮風を嗅ぎながら
ちいさなしぶきが頬をなでるのにまかせる
わたしは
カバの流木にとりすがって人生を休んでいた
もしこのまま眠ってしまったら
(もう眠ってもいいのだ)
わたしは名もない草の種になろう
そして襟裳岬につづく牧草のそばで
つぎの命をそっと萌やすのだ
カテゴリー:
修羅
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北海の歌 -代志子に-
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